第118章 君の代わりに彼女を許した

話しているうちに、有岡婆さんはもう玄関まで歩いていっていた。片手でドアを引き、有無を言わせぬ顔で言い切る。

「哲哉、もう帰りなさい」

里穂がまだ怒りの渦中にいるのは分かっている。今は顔も見たくないだろう。昨夜の一件だって、聞くだけで胸が痛むほど、里穂がどれだけ悔しい思いをしたか想像がついた。

有岡哲哉はその場から動かなかった。深く息を吸い、かすれた声で懇願する。

「おばあちゃん、もう少しだけ時間をください」

そう言って、彼の視線は有岡里穂の――感情の影すらない冷たい横顔に縫い止められる。

「西川安菜のことなんだ」

里穂の眉間がきゅっと寄った。立ち上がると、椅子が床を引っ掻いて「...

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